「学校Ⅳ」 3月の市民シアターご案内

人間にとって学校とは?十五才「学校Ⅳ」山田洋次監督作品
不登校の少年が家出、ヒッチハイク屋久島を目指し本当の人生を学んで行く

日時)平成29年3月26日(日)午前9:30〜 午後1:30〜(午前・午後の2回上映となります)
場所)見附市図書館(2F視聴覚室)入場無料・申込み不要先着順(席に限りがあります)
作品)松竹映画2000年(平成12年)120分 監督 山田洋次
出演)金井勇太 秋野暢子小林稔侍、赤井英和、麻美れい、丹波哲郎、前田 吟、笹野高史
   犬塚 弘、桜井センリ中村梅雀余貴美子佐藤蛾次郎 他
主題歌)ゆず

【あらすじ】
 夜間中学、障がい者学園、職業訓練校など様々な「学校」を描いて来たシリーズの最終作
本作の舞台は学校ではなく、不登校の少年が家出し、ヒッチハイクしながら横浜から鹿児島県の屋久島までの旅を描いたロードムービー。旅で巡り合う人々との交流で少年が人生を勉強し、立ち直るまでを描く。社会や世の中が人生や人間の生き方を教えてくれる「学校」なのだと言う事を教えてくれるヒューマンドラマの秀作です。

【見どころ】
山田洋次監督の『学校シリーズ』はいわゆる小中高等学校ではなく夜間中学や養護学校など様々な学校で悩み、苦しみながら働き、勉強する人々の人生を描いている。『学校Ⅰ』で夜間中学を舞台に。『学校Ⅱ』では特別養護学校を舞台に『学校Ⅲ』では再就職のための技術を学ぶ職業訓練校を舞台に描いた。本作は不登校児の中学3年生の少年「大介」がある日家族に行き先を告げないまま家出をした。その理由は屋久島にある樹齢7,000年とも言われる縄文杉に触れてみたいという思いからだった。大介の母・彩子は心配するが父・秀雄は意気地なしの大介がそんな遠くに行けるわけがないとまともに取り合わない。そんな親の心配もよそに大介は、一人旅をしながら道中で様々な人に出会う。学校に行き、勉強して、受験して上の学校に行き、りっぱな大人になり、両親に喜ばれる。果たしてそれでいいのだろうか?みんなと同じような人生を送らなければならないのだろうか?そんなことを改めて考えさせられる作品です。少年役の「金井勇太」君がまずいい。そしてヒッチハイクで出会う様々な人たちもいい。特に長距離トラックの運転手の「赤井英和」と女運転手「麻美れい」がとてもいい。自分の息子も実は不登校自閉症らしく、大介を泊めてやったことで自分の息子と心が通い合うまでが観ていてとても心が温まる。観ていてひょっとすると「寅さん」も放浪の旅を続けながら自分探しをしていたのかも知れないとふと、思ってしまいました。
大介は少年らしく「自分探し」より「自分創り」なのではないか?後半、屋久島で出会う老人「丹波哲郎」とその息子「前田 吟」のエピソード。私は丹波哲郎と言う役者の最高の演技を観たと感じた。歳をとると言う事と息子としての優しさと思いやり。そして認知症、介護問題までがここで描かれる。年老いた父の寝ションベンを怒鳴る息子に大介が思う当たり前の気持ちの「老人を労わり、息子がやらなければならないこと」の言葉が誰の胸にも突き刺さる。大人になることの本当の意味は学校では学べない。そういう視点から見た「学校」の在り方を、少年の旅を通じて、山田洋次はものの見事に描き切った。学校シリーズの最終作です。
見附シネマ倶楽部