今年最後の市民シアター

いよいよ師走ですね。東日本大震災に代表される自然災害が記憶に残る年でした。
また世界的不況感、そして政治不信も益々増してきているように思います。
毎月1回市立図書館で上映してきた「見附に映画の灯を!」も本年最後のプログラム
となりました。映画館の無いまちでファンのため映画を上映し続け、毎回、来場者
の温かい拍手や「面白かったね!」の一言を励みに来年もやります。

本年最後の上映会なので当日は映画チラシのミニ展示会も行います。懐かしの映画
思い出の映画、心に刻んだ映画などなど思い起こしながらご覧戴ければと思います。
いつもより少し早めにお越しください。


ご存知赤穂浪士赤穂城断絶深作欣二忠臣蔵

日時)平成23年12月18日(日)午後1:30〜3:50
場所)見附市立図書館(2F視聴覚室)
作品)東映映画1978年(昭和53年)深作欣二監督「赤穂城断絶」140分 
出演)萬屋錦之介千葉真一渡瀬恒彦丹波哲郎三船敏郎松方弘樹岡田茉莉子
三田佳子芦田伸介近藤正臣森田健作西郷輝彦原田美枝子江波杏子、峰岸 徹 他


【あらすじ】
日本映画の金字塔として映画、TV、歌舞伎と数限り無い忠臣蔵が作られたがこの作品は
仁義なき戦い」で名声を挙げた深作欣二監督が制作したダイナミックな戦闘シーンを
散りばめたいわば深作流解釈の赤穂浪士の仇討ちの物語


【見どころ】
時代劇の男優として誰もが一度は演じてみたい大石内蔵助役を念願叶った錦之介が堂々と
演じている(錦之介は過去の忠臣蔵浅野内匠頭役や脇坂淡路守を演じたが内蔵助は始めて
演じた)フカキン(深作監督のこと)は過去の忠臣蔵作品の前半で吉良上野介から執拗に意地悪を
されるエピソードを省き、いきなり松の廊下で刃傷に及ぶ内匠頭(西郷輝彦)からスタートし、
知らせを受け国許で動揺する赤穂藩士とそれを鎮めリーダーとして仇討へと導いてゆく内蔵助を
描いてゆく。フカキンは新しい解釈の忠臣蔵を目指したと思うが結局、王道をゆく物語となってしまった。
錦之介に位負けしたのだろうか。それでもフカキンらしい冴えを見せるのが千葉真一扮する不和数衛門の
殺陣の見事さだ。更に橋本平左衛門近藤正臣)と新妻の原田美枝子の薄幸のエピソードなどを取り混ぜ
ながらクライマックスの討ち入りシーンで吉良方の付け人小林平八役の渡瀬恒彦千葉真一の一騎打ちを
狭い室内での長丁場の殺陣でフカキンの非凡な演出を見せて最大の見せ場を観客に用意してくれる。
本懐を遂げ引き上げるところで終わる過去の忠臣蔵と違いフカキンの忠臣蔵では柳沢吉保丹波哲郎)を
はじめとする老中会議で赤穂浪士たちに切腹を決めるエピソードに続き浪士たちの切腹シーンまで
しっかりと見せる演出だ。

昨年、新解釈の池宮彰一郎原作「最後の忠臣蔵」も公開され日本人なら誰もが知っている、そして大好きな
この忠臣蔵も制作されたそれぞれの時代でそれぞれの解釈とその時代のスターの競演が観客を楽しませて
くれる。このフカキン制作では吉良邸の隣屋敷の旗本土屋を貫禄で演じる三船敏郎、内匠頭に好意を寄せる
目付多門伝八郎役の松方弘樹、美しくも凛々しい内匠頭室の三田佳子と内蔵助の妻を演じる岡田茉莉子
上杉家家老の千坂役の芦田伸介の重厚さ、京の花魁太夫を演じる江波杏子の妖艶さ、憎々しい吉良上野介
演じる金子信雄などなど東映時代劇スターをふんだんに使い見せ場たっぷりの時代劇絵巻をどうぞ堪能して下さい。

見附シネマ倶楽部