V-storm50の時々日記 佐々木譲講演会


昨日12月14日(土)午後2:00からアルカディアで見附図書館主催第5回目となる直木賞作家
を呼んでの文化講演会が開催された。過去「山本一力」「重松清」「諸田玲子」「浅田
次郎」そして今回は「佐々木譲」生憎の雪の中、市内の大勢の佐々木譲の作品のファンで
会場の小ホールはほぼ満員(200名くらい)となりました。心配してた見附市の文化レベル
がまぁまぁだったので正直ホッとしました。

佐々木先生は「廃墟に乞う」で第142回直木賞を受賞、現在は特に警察小説で「笑う警官」
(これは道警本部の腐敗を告発した内容)「警官の血」「制服捜査」など多数。また歴史
小説でも「武揚伝」では榎本武揚。「獅子の城塞」では信長の密命でヨーロッパに渡った
石工 戸波次郎左の数奇な運命を描くなど。そして私がこよなく愛す、冒険ロマン小説で
太平洋戦争秘話を描いた3部作「ベルリン飛行指令」(ゼロ戦ヒットラーの要望でドイツ
へ空輸するエピソード「エトロフ発緊急電」(真珠湾攻撃の情報を得た米国が日本に潜入
させた日系2世のスパイケニー・齋藤とエトロフ島で健気に生きるロシア人の父と日本人の
母との間に生まれた女、ゆきとの許されぬ恋を描く。そして「ストックホルムの密使
終戦間際米国の原爆開発成功とソ連の日ソ不可侵条約破棄の情報を知らせるべき
ストックホルムから放たれた2人の密使を描く。など多彩なレパートリーの売れっ子作家。
講演を楽しみにしてた、佐々木譲の講演会でした。

内容も佐々木氏の幼い頃読んだ絵本や少年少女世界文学全集などの紹介をしながら、
大変な映画好きでキネマ旬報に投稿した映画評論が認められ書くことが収入を得られること
を改めて自覚した経緯や文学ではない「読物」としてエド・マクベインの87分署シリーズや
刑事マルティン・ベックシリーズ。そしてレイモンド・チャンドラーの「さらば愛しき女」
など警察・刑事・探偵ものなどを愛読したことが現在の警察シリーズにつながったなどの
作家佐々木譲の原点を話された。また、北海道出身で中標津町に購入した坪100円の土地に
建てたアトリエを紹介。代わりに水道を引くのに100万かかったエピソードなど会場の笑い
を誘いながら話されました。


佐々木氏は1950年生まれで私より1歳年下です。氏の両親は当時エトロフ島の出身でリアルに
単冠湾(ヒトカップ)に集結した日本の機動部隊の空母赤城などを見た話を幼い頃から聞いていて、それが「エトロフ発緊急電」という山本周五郎賞を受賞し、NHKより4部作の8時間ドラマとして放映された傑作ドラマ「エトロフ遥かなり」につながりましたと紹介。
このドラマは男性ファッションモデルで有名だった「永澤俊矢」と「阿部寛」そして「沢口靖子」らが出演し、アメリカやスペイン、ハワイロケなど大掛かりな撮影とスケールでほぼ、原作に忠実に描かれたドラマです。

氏は「ある程度の年齢になったら乱読からテーマを絞って読むこと、そして読後感想を必ず
書き(出来ればブログなどで公開し)全国のファンと交流するなどインプットからアウトプットへの挑戦をアドバイスされました。講演後、質問時間が設けられたので私が質問、
戦争秘話3部作の登場人物たちの類似性を質問し、佐々木氏から明快な意図の説明がありました。講演後、私ら読書サロンを中心とした「たから」での懇親会にも新潮社の女性担当者と
共に佐々木先生も気さくに参加され、酒を酌み交わしながら氏のダンディズムや女性観など
普段聞けない話で大いに盛り上がりました。
最後には先生を囲み記念写真で想い出を作りました。益々、ファンとなりました。
最高の一日でした。

前列の中央が佐々木譲先生また左端が新潮社の担当者です。

先生から戴いたサインです。