V-storm50の時々日記 Justice


Justice=正義 白熱教室
「暴走する路面電車
あなたは路面電車の運転士で時速100キロで疾走している。前方を見ると、5人の作業員が工具を手に線路上に立っている。電車を止めようとするのだが出来ない。ブレーキが利かないのだ。頭は真っ白になる。5人をはねれば全員が死ぬとわかっているからだ。
ふと右側へそれる待避線が目に入る。しかしそこにも作業員がいる。だが1人だけだ。路面電車を待避線に向ければ1人は死ぬが5人は助けられる。さてあなただったら?

もうひとつの実際にあった道徳的ジレンマの話
アフガニスタンの山羊飼い」
2005年6月アフガニスタンでのこと。M・ラトレル2等兵曹は米海軍特殊部隊のメンバーら3人と共に任務を帯びパキスタン国境地帯から秘密の偵察に出発した。任務はタリバン指導者の捜索で情報によるとその人物は武装した140〜150名の兵士を率いていて近寄るには困難の山岳地帯の村にいるらしい。特殊部隊が苦労の末、村を見下ろす山の尾根に陣取ってまもなく100頭ほどの山羊を連れた2人のアフガン人農夫と14歳くらいの少年に出くわした。武器はもっていない。ラトレルら兵士は山羊飼いたち非武装の民間人をどうすべきか話し合った。山羊飼いたちはこのまま解放すればタリバンに通報する危険がある。しかし少年まで殺す非道な行為も出来ず、最後は投票で決めることとした。結果は解放となつた。しかし、1時間半後かれらは武装したタリバンに包囲され激しい銃撃戦となった。救出しようとしたヘリも撃墜され16名の兵士が命を落とした。ラトレルは重傷を負ったものの奇跡的に助かり、後日、自分の決断が全く間違っていたと深く後悔した。この場合あなただったら?

ハーバード大学マイケル・サンデル教授の講義「白熱教室」で問いかけられた代表的な問題です。
政治哲学のJustice=正義 この現代社会における問題はさまざまな今、リアルに起きている世界中の様々な事件についても当てはめて見ることが出来ます。
今回イスラム国に拉致され高額な身代金(または人質交換)を要求された2人の日本人も政府は勿論、日本国民も大いに苦悩しました。結果は最悪の結果となってしまい犠牲となられた御2人と遺族関係者に言葉もありません。
身代金を払って益々イスラム国が武器を買い整え勢力をつけさせることは出来ない。問題は違うが北朝鮮に拉致されためぐみさんらを救出するための経済援助などもある意味、同じ決断を迫られる難しい問題です。国際社会から非難される非道な集団を結果として作ってしまったのはアメリカがブッシュ政権下でサダム・フセインを追い詰め殺害したことによることに端を発したイスラム国家であることは東欧のチェコなどロシアの衛星国の崩壊でも同じようにタガが外れたことに起因したことでも明らかです。

資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、 資本主義は自動的に、恣意的で持続不可能な格差を生み出す。累進課税など21世紀型の経済問題や課税に対する投げかけを行ったトマ・ピケティ著「21世紀の資本」がこの手の経済専門書では驚異的なベストセラーとなっている。格差社会もかって1億総中流意識と言われた日本にも急激に広がってきています。

国際社会の中で現代の「正義」「資本」も考えていかなければならないと思います。
人間の普遍的な観念や決断も時代と共に変化する必要があるのか?
少なくても私が今感じていることは政治(私の場合基礎自治体の小さい単位での行政や事業ですが)は全ての人々を満足させることは出来ない。一方から見た時それは歓迎すべき事業であってももう一方から見れば不必要だったり規模、優先順序など様々な反対意見は当然ある。しかし、勇気をもって推し進めることが首長の決断だと思います。当然、丁寧な説明は必要です。様々な多くの事案を積み重ね、リンクさせある程度の時間をかけ粘り強く進め結果を出す努力が必要かと思います。
市民の多くはどちらかと言えばサイレントマジョリティ(もの言わぬ大衆)であり昔から3:4:3の原理があり反対者3:どちらとも言えない4:賛成者3で反対のエネルギーが強いとき4が同調します。しかし意外と市民は本質を見ていると思います。しっかり丁寧な説明をすれば必ず理解して戴けると私は信じています。一方的な意見や情報で物事を見て別の考えや意見は全く聞かない無視するなど反対ありきでは困ります。自分と考えや意見の違う言葉にも耳を傾けることは大げさではなく正義が双方にあることに気が付く必要があると私は思います。

5人を殺すより1人を殺す方が正義であると正当化することは出来ません。更に5人は仕事で怠け癖がありプライベートでも暴力事件を起こしたりしている。1人の方は仕事も真面目でプライベートでも周囲からいい奴と言われていたとする…。正義(答えや結論)がひとつとは限らないことをマイケル・サンデル教授から学びたいものです。経済論でもピケティ氏の税のあり方だけで解決できない複雑な要素をはらんでいると私は思います。
マイクロソフト創始者ビル・ゲイツの資産は530億ドル(約6兆2,000億円)と言われています。仮に彼に富豪税をかけ毎年1億ドルを徴収しても彼は痛くも痒くもないでしょう。しかしそれでは頭を使い苦労して大成功した者が馬鹿を見ることになり努力しなくなるかも知れません。
1昨年東日本大震災の瓦礫処理を行ったお隣りの長岡栃尾地区や三条栄地区の反対集会で過激な質問や反対した人たちは今どうしているのでしょうか?そんなことを考えるこの頃です。