V-storm50の時々日記 風が強く吹いている


昨日、深夜の1時頃までかかり1冊の小説を読み切りました。
直木賞作家で若手女流作家三浦しをんの「風が強く吹いている」です。一言で「オモシロイ!」です。陸上部としては全く
無名の大学が正月恒例の箱根駅伝を目指すストーリーは単純明快なスポ根物語です。主人公の二人はどちらも高校時代
長距離界で将来を期待されてたのにそれぞれの事情で挫折し、走ることを諦め大学に入り、ある偶然で巡り合い、同じ
ボロアパートで同じ大学に通う個性あふれる仲間たち8人を巻き込み夢の箱根駅伝出場を目指します。
コンビニから万引きし逃げる足の速さと持久力でお互いを認め合うオープニングからボロアパートの住人一人ひとりの
性格描写、そして猛訓練、合宿、記録会などのエピソードを積み重ねながら圧巻の1月2日の箱根駅伝のスタートから
10人が襷につなぐ友情、願い、思い、プライド…。ライバル大学との駆け引きや往復の10区のそれぞれの特徴ある
コース紹介や選手を支える裏方たち。三浦しをんの構成の巧みさはそれぞれの生い立ちや心の中を走らせながら語らせる
行(くだり)です。正直、深夜のベッドで泣きながら読みました。
三浦しをんの小説は先日紹介した「舟を編む」が始めてでしたが(映画の方が先でしたが…)その構成力は巧みで登場
人物たちの魅力的な個性味も自分的に大きなは魅力です。正月何気にお酒を飲みながらぼんやり見ていた、あの大学箱根駅伝
の各区間の特徴や意味合いがこの小説を読みよく分かったように思います。作者はあとがきで大東文化大や法政大学の
陸上競技部関東学生陸上競技連盟などの丹念な取材や箱根駅伝の実際のコースを丹念に自分の目で見て取材し、箱根を
走る選手たちのことに想いを馳せたり、時速20キロ近くのスピードで走るときやわらかい雪片が顔の正面からあたり
小石が当たったみたいに「痛い !」と言う感覚を感じるため車窓から身を乗り出し感じることも経験したという。

長距離選手は「速い!」と呼ばれることじゃない「強い!」と呼ばれることなんだ。
「俺たちが行きたいのは箱根じゃない。走ることによってたどりつける、どこかもっと遠く、深く、美しい場所」

そして9区を走る蔵原 走(かける)とアンカー10区の清瀬灰二(はいじ)の襷をつなぐ場面で感動は最高潮に達します。
この小説は少年ジャンプにも連載され更に映画化もされました。
来年の箱根駅伝のTV中継を見る、自分の観方がどう変わるのか今から楽しみです。