V-storm50の時々日記 スクリーン情報「DJANGO ジャンゴ繋がれざる者」



今、話題の映画「DJANGOジャンゴ繋がれざる者」を観てきました。このアゴが特徴のタラちゃん。
いゃ〜この「クエンティン・タランティーノ監督」の映画で裏切られたことはないが今回の「ジャンゴ」は今まででも
1〜2の上出来の作品となった。オープニングの音楽がまずグッド!お馴染みのマカロニウェスタンの傑作のひとつ
セルジオ・コルブッチ監督の「続荒野の用心棒」のテーマソング(ジャンゴが原題名)ジャンゴ〜♪が小気味よく流れ
奴隷商人に手枷足枷の黒人奴隷たちが寒さに震えながら荒野を歩いて行くシーンからもうこの映画の虜となること
請け合い。いつも感心するのは人物描写(性格描写)の上手さとストーリー展開の面白さ!!
このタラちゃんはB級映画で育ち映画の面白さを表現することにかけては天才的な才能がある。
特に影響を与えたマカロニウエスタンや日本の千葉真一梶芽衣子などの主演映画からのヒントを上手く使っている。
リアルとアニメチックでデフォルメされた描写は痛快さ満載だ。ストーリーは簡単、南北戦争の始まる2年前黒人は
馬に乗ることさえ出来ない差別でその殆どが例外なく労働力や慰み者として奴隷商人同士の取引で牧場主や大金持ち
たちに人間扱いされず家畜以下の扱いを受けていた。そして夫婦として幸せを求め逃亡したジャンゴと妻のブルーム
ヒルダは結果として捕まり見せしめに頬に焼きゴテで烙印を付けられ別々に売り飛ばされ生き別れとなる。
お尋ね者の3兄弟の顔を知っていることから賞金稼ぎのドイツ人シュルツにより解放されたジャンゴはシュルツから
手ほどきを受け凄腕の賞金稼ぎのガンマンとなり妻を取り戻すべく、恩人のシュルツと共に冷酷なミシシッピーの
牧場主カルビン・キャンディの元へ向かう…。



この映画で初めて悪役を演じるディカプリオ=この悪役振りは見もので特筆されるべき新境地。
更に「マンディンゴ」=黒人同士でどちらかが死ぬまで格闘させてそれに賭けたりして娯楽として楽しむ白人のゲーム。
そしてオリジナルのジャンゴ=フランコ・ネロカメオ出演するサービスもあり。
特に後半登場するタランティーノ映画お馴染みのサミュエル・L・ジャクソン演じる先々代から仕える黒人の執事
「スティーブン」の人物描写が凄い!同族(つまり黒人を)自らも黒人なのに差別し白人の主人側に立ち嫌悪する異常で
冷酷な性格でこのキャンディ家の何代にも仕え、ディカプリオを赤子から育てたこの執事は人の見えないところでは
まさに祖父や父のようにディカプリオにアドバイスするあたりのシーンはぞくぞくするほど不気味!!

勿論、豪快で派手なガンファイトや残酷な鞭の使い方、派手な血糊をまき散らしながら吹っ飛ぶガンマンたちなど見せ場
もタップリ満載。タラちゃんの描き方はリアルかギャグか?それは観客の価値観とこだわり!勿論、タラちゃん本人も
相変わらずドジな三枚目として登場するからお楽しみに!

音楽もシーンも数々のマカロニウエスタン作品のオマージュがある。鞭は「真昼の用心棒」のシーンを思わせるし、
音楽ではジュリアーノ・ジェンマの「怒りの荒野」そして「ラスト・アメリカン・ヒーロー」など映画ファンなら
ニンマリのシーンや音楽を散りばめてある。そして娯楽だけに徹した映画かと思いきや黒人や人種差別、奴隷制度など
アメリカの恥部とも言える歴史の暗部も皮肉っているその視点も只者ではない。

特に後半カルビン・キャンディの大邸宅内での銃撃戦は手に汗を握るド派手な描写は見物です。カルビンの姉が弾丸を
撃ち込まれ吹っ飛ぶシーンや黒人の骨相学を頭骸骨をノコギリで切りハンマーを使って説明するディカプリオの怖さ
などゾクゾクするほど!そして脇役のDrキング・シュルツを演じたクリストフ・ヴァルツ(先回の作品イングロリアス
バスターズで冷酷なナチス将校を演じた)がいい味出している(今回アカデミー賞助演男優賞受賞)勿論、主演の
ジャンゴ役ジェイミー・フォックスもはまり役。更にブルーム・ヒルダ役のケリー・ワシントンなど適役がそれぞれ
楽しみながらそれぞれの役を演じている。
皆さんこんな面白い映画を大画面と迫力の大音響で観ない手はないですよ!映画館に走るべしです。