V-storm50の時々日記 スクリーンガイド4


スクリーンガイドの第4弾はブライアン・デ・パルマ監督の傑作「アンタッチャブル」です。

作品)「アンタッチャブルアメリカ映画1987年(昭和62年)
出演)ケヴィン・コスナーショーン・コネリーロバート・デ・ニーロアンディ・ガルシア、チャールズ・マーティン・スミス
   アカデミー賞 助演男優賞、衣装デザイン賞、作曲賞、美術賞

【あらすじ】
1930年代アメリカで施行された禁酒法を逆手にとり無法の限りをつくすシカゴの巨大な暗黒街と対決する財務省の捜査官「エリオット・ネス」
を中心のプロジェクトチーム「アンタッチャブル」(さわれない=賄賂が効かない連中のこと)が市長をはじめとする政治家、司法、警察、
マスコミまで牛耳るギャング組織とその組織に君臨するアル・カポネを追い詰めていく姿を1930年代のシカゴを舞台に描いたドラマ

【見どころ】
この映画でアカデミー助演男優賞を獲得した老警官ジム・マローン役のショーン・コネリーの存在感がいい。若きエリオット・ネス
ケヴィン・コスナー)を、親父のように叱り、アドバイスする。また、イタリーの移民で警察学校のはねっ返りストーンを演じる
アンディ・ガルシア、そしてこの役を演じるため体重を15キロ近く増やし頭髪まで抜いてアル・カポネを演じたロバート・デ・ニーロ
役者根性は圧巻、更に会計係で銃の扱いや暴力に無援のオスカー・ウォレスを演じるチャールズ・マーティン・スミスのコミカルな演技など。
誰もが主役で主人公そんな配役の素晴らしさも魅力の作品です。

圧倒的な存在感のデ・ニーロ演じるアル・カポネ

アル・カポネの祖国イタリアが生んだ天才2人がこの映画に花を添える。エンニオ・モリコーネの音楽の素晴らしさとジョルジォ・アルマーニ
衣裳のカッコよさはこの作品の完成度を更に高めた(E・モリコーネは荒野の用心棒や夕陽のガンマン、更にはワンス・アポン・ア・タイム・
イン・アメリカなどの主題歌で有名な映画音楽家、ジョルジョ・アルマーニは説明不要な世界的デザイナーで彼のデザインしたスーツは
30万〜40万円くらいで直営店や有名百貨店で販売されている世界中のおしゃれ好きな憧れのブランドです)


エリオット・ネスとアル・カポネ、お互い顔を見せずに対比させるオープニング。ジム・マローンのアパートを襲う殺し屋の目線で動く
ヒッチコック張りのカメラワーク。大平原で行われるスリリングな騎馬警官と酒の密売組織との西部劇風のアクション。ビルの屋上から
突き落とされる殺し屋と一緒に落下するカメラワークなど鬼才ブライアン・デ・パルマ監督の凝りに凝った演出が満喫できる。デ・ニーロの
カポネがとにかく怖い、ベースボールに例えながらチームワークを唱え失敗した部下をバットで殴り殺す冷酷なシーンは凄まじい!
デ・パルマ監督の名人芸とも言える凝りに凝ったカメラワークと編集の切れ味が堪能できる作品ですが個人的に付け加えるならば…。 
特筆すべきはやはり老警官マローン役のショーン・コネリーの演技はまさにアカデミー賞助演男優賞に相応しい。マローンのセリフもいい!

「グッドコップ=いい警官とは毎日無事に愛する家族のもとに帰ることだ」
「奴らを相手に闘い始めたら後戻りは出来ない。勝つまでやり続けるしかない。最後までやり抜く決意は出来ているのか!」
「樽の中は腐ったリンゴだらけだ。新鮮なリンゴがほしければ木からもぎ取るしかない」

アパートを襲った殺し屋と激しい銃撃戦で血みどろになりながら駆けつけたエリオット・ネスにマローンは命懸けのアドバイスをする。
「考えるんだ!相手の行動を!」オスカーとマローンの二人を失ったネスとストーンのコンビは最後の決着をつけるためカポネの会計責任者を
捕えるべくセントラル駅へ…。命を懸けて挑戦した熱い男達の鼓動が聞こえてくる。
クライマックス最大の見せ場セントラル駅での乳母車の階段落ちのスローモーションシーンはエイゼンシュタインの名作「戦艦ポチョムキン
オデッサ港の有名な階段落ちのシーンのオマージュか?…。

これが有名なセントラル駅の階段です。
配役、音楽、衣装、カメラワーク、演出と第一級のサスペンスドラマを堪能下さい。