V−storm50の時々日記 スクリーンガイド

時々発想の転換で自分が観た映画で面白い作品を紹介することにします。このガイドを見て興味を覚えたら試しに鑑賞してみて下さい。
私と同じような感性(とは言っても普通人だと思っていますが)ならまず、観て良かったと思えるはず…。
何せ自他共に認める映画バカの選んだ作品ですから。映画はいつでも世界を駆け巡れ時代を超えタイムスリップまで可能です。
自分にとっては転地療法みたいな効果もありますから…。

おせっかいな【この作品の予備知識】

アーミッシュ(英語: Amish ドイツ語: Amische)とは、アメリカ合衆国ペンシルベニア州・中西部などやカナダ・オンタリオ州などに
居住するドイツ系移民(ペンシルベニア・ダッチも含まれる)の宗教集団である。現在も移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって
自給自足生活をしていることで知られる。原郷はスイス、アルザス、シュワーベンなど。人口は20万人以上いるとされている。

『刑事ジョン・ブック 目撃者』

作品)1985年(昭和60年)ピーター・ウィアー監督 アカデミー賞2部門受賞(8部門ノミネート) 
出演)ハリソン・フォード、ケリー・マクギリス、ルーカス・ハースダニー・グローバー   
【あらすじ】
ペンシルベニアでひっそりと暮らすアーミッシュの母子が大都市フィラディルフィア駅で麻薬潜入捜査官殺しを目撃したことから事件に
巻き込まれる。担当したフィラディルフィア警察の刑事ジョン・ブックまで銃撃に遭い母子と自らの危険を感じ、傷ついた身を隠すため
アーミッシュの村に身を潜める。そこは暴力とは無縁の心優しい人々が暮らす別世界だった。傷ついたジョン・ブックを献身的に介護する
若くして夫を亡くしたレイチェルとジョン・ブックはやがて…

【見どころ】
1690年年代にドイツからアメリカのペンシルベニア州ランカスター地方に移民し、文明から隔絶した世界の中で暮らすアーミッシュの人々と
大都会で喧騒と暴力の世界に生きる刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)とを対比させ人間の生き方と価値観を問いかけながら豊かな
自然の中で暮らすアーミッシュのサミュエル少年(ルーカス・ハーツ)との心の交流を描きながら少年の母親レイチェル(ケリー・マクギリス)
との禁断の恋、そしてクライマックスに待ち受ける生死を懸けた激しい銃撃戦が繰り広げられる緊迫のドラマです。まずオープニングのシーンが
感動的だ。豊かな陽光と優しい風に黄金に輝きながら波打ち一面に広がる麦畑の中から集まってくる黒い服のアーミッシュ達。

アーミッシュの村で新婚夫婦の引き出物として村人全員で納屋を建てるシーンは破壊することを常識とした従来の刑事映画と明らかな
一線を画し、創り上げる喜びと感動を観客に訴えた素晴らしいシーンです。
納屋で大工仕事に汗を流すジョン・ブックにレモネードを手渡すレイチェルの前でジョンは一息に飲み干す、口からこぼれ喉に伝わり胸に
流れるのをジッと見ているレイチェルの表情の何と官能的な美しさ!レイチェルを演じるケリー・マクギリスの大きな瞳はイタリアを代表する
往年の大女優ソフィア・ローレンを彷彿させ、とても魅力的です。ジョン・ブックとレイチェルの関係は思わせぶりに少しずつ親近感を増して
いきます。

夜の納屋、ランプの光の中でカーラジオから流れるサム・クックのワンダフル・ワールドに合わせぎこちなく踊るジョンとレイチェル。
ラブシーンに発展しないプラトニックラブが切ない「君を抱いたら、僕がここに留まるか、君をここから連れ出すかどちらかになる」ジョンと
レイチェルの禁断の恋は燃え上がる…。
この映画はサスペンス物としても各シーンが緻密に作られている。サミュエル少年が駅のトイレで遭遇する殺人犯人との手に汗を握るシーン。
ジョンが駐車場で撃たれる直前、画面手前の黒い車のサスペンションが少し揺れて犯人の存在を感じさせたり、終盤のジョンを襲う男達が丘から
エンジンとタイヤが砂利を踏みつける音を効果的に使いながらのヌッと現れる車の怖さなど緊張感溢れるカメラアングルと演出が随所に光ります。
映画音楽の巨匠モーリス・ジャールアラビアのロレンス、ドクトルジバゴなど)の音楽が心に沁み渡ります。ピーター・ウィアー監督の秀作
にしてハリソン・フォードの最高傑作「刑事ジョン・ブック/目撃者」お楽しみください。

尚、レイチェル役のケリー・マクギリスはあの「トップガン」でトム・クルーズの恋人の女教師役でも有名です。