原田芳雄

訃報を聞きました。
日本の男優の中でも好きだった俳優です。昔から男臭く、不器用だが一本気なところが好きでした。
外国では往年のボンド役ショーン・コネリーが好きでした。考えてみるとコネリーも芳雄も共通点
が多かったように思います。
男臭さ、眉毛が太い、声が低音で響きがある、アクションヒーローでデビューしてその後、そのイメージ
からの脱却に苦労して、人間的な温かみ、にじみ出る人柄やユーモアを表現して味のある俳優へと
成長したなどなどが挙げられると思います。

特に声はどちらもいい声の持ち主です。自分が原田芳雄の存在に気が付いたのは野良猫シリーズだった
ように思いますが当時、邦画界は斜陽で自分も当時、ほとんど洋画ばかり見ており、彼の主演映画は
映画館で見ていませんでした。彼の代表作となった「竜馬暗殺」もこの辺では上映されず、DVDを購入
して観ました。モノクロの作品でいきなり竜馬(原田芳雄)がハカマ姿で革靴を履いて歩く場面の鮮烈な
印象を覚えております。この作品には松田優作桃井かおりなど当時の人気俳優が出演しています。

私が映画館で初めて原田芳雄主演の映画「御子神の丈吉・牙は引き裂いた」を観たことが彼の決定的な
ファンになった原因です。
時代小説に新しい股旅ブームを捲き起した笹沢佐保原作の同名小説の映画化。一度は渡世の足を洗った
男が、妻子を惨殺され復讐の旅に出る……。脚本はザ・ガードマン、ある殺し屋、太陽にほえろはぐれ刑事純情派
非情のライセンス特捜最前線石松愛弘。監督は座頭市眠狂四郎、忍びの者シリーズの池広一夫。撮影は羅生門
雨月物語無法松の一生、用心棒、東京オリンピック宮川一夫がそれぞれ担当(当時の第一級のスタッフです)

あらすじ 【無宿人御子神の丈吉 牙は引き裂いた】
旅から旅へさすらい、喧嘩の修羅場に命を張る一匹狼−房州無宿・御子神の丈吉。渡世人はその名を
聞いただけで恐れた。ある日、丈吉は、足の生爪をはがして高熱を出し、宇都宮の茶屋の娘、お絹の手当て
を受けた・・・
悪党が実は国定忠治だったり、どんでん返しのストーリー展開、そして原田芳雄の豪快な殺陣や孤独でニヒル
渡世人姿。そして黒づくめの渡世人疾風の伊三郎(中村敦夫)の登場など魅力たっぷりの映画でした。
この作品はシリーズ化され計三本が公開されましたが何故か日本で評価されず、アメリカやアジアで評価
されDVDも発売されています。MIKOGAMI YOSHIO HARADAの名はアメリカでも一部の熱狂的マニア
がいるようです。ご冥福をお祈り致します。

アメリカで発売されたDVDのパッケージです
恋女房のかたみ赤いしごきを帯の上に巻き復讐に燃えるさすらいの一匹狼=芳雄が最も輝いてた時期だと思います
刀を持っていれば侍(武士)と勘違いしているアメリカなんです(御子神の丈吉は町人でやくざ者なのに・・・)
パッケージのSAMURAI CINEMA presentsに苦笑です。