誤解のないように

念のためですが、映画「小川の辺」(おがわのほとり)はなかなかの作品です。自分が藤沢作品への思い入れが
人一倍強く、歴史ものへの興味も人並み以上あり、そのうえ趣味のビデオ撮影で歴史ものを編集したりして作品を
作っているせいもありつい、辛口の批判となっている部分が多々あり時々反省しています。

みなさまは昨今の映画(だけでなくTV界も)やたら動物と子供を準主役にしてる作品が多いことに気が付かれないで
しょうか?このような企画は邦画界や日本のTV界にとって大変危険な危機的状況かとひとりで気を揉んでいます。
動物や子供を中心に据えた企画にはいくつかの製作者のご都合主義が透けて見えて嫌悪感さえ感じることがあります。
製作者側に立ってみますとまず制作コストが大変安くつくことです(子役、動物のギャラが低い)更に大した演技で
なくてもしぐさや表情で涙や感動を誘える。NGも少ないのでフィルム、製作日数、スタッフの手当てなど大幅の
削減が可能。ほとんどがロケで撮影が出来、大掛かりなセットや特撮などコストが増大する要素が少ないなどなどで
いわゆる費用対効果が抜群の作品となるからです。もうひとつ付け加えると最近山形県鶴岡市周辺に代表される
町おこしで撮影地とエキストラを提供する自治体があちこちに出現し、映画が撮影しやすい環境になったことです。
更にとどめの一発はこのような動物、子供中心の映画は親子や家族で観に来てくれ観客動員数が見込めるからです。
勿論、撮影地、エキストラの親類、知人までが観客になってくれますし、宣伝もしてくれます。

安く作って大きく儲ける、こんな安易な企画の作品を作っていては監督をはじめ脚本家、カメラマン、照明、衣装、
大道具、小道具などはますます育たなくなりますし、俳優陣も育つはずがありません。まさに映画界、TV界の将来
が見えません。そうゆう意味から「小川の辺」は佳作と思います。
映画の本場ハリウッドや数十年前まで日本人の若者を惹きつけた仏、伊に代表されたヨーロッパ映画までが企画が
貧困となっています。

アドベンチャー、パニック、スペクタクル、近未来SF、CIAや警察、法曹界、宗教界の内幕もの、コミックの
実写版、現実的でない過激なアクションや残酷描写、欲情場面など安易で品位がない場面がこれでもかの満載映画が
多いと思いませんか?
映画界、TV界に真のクリエーターがいないはずはありません。大した演技も出来ず、役作りも出来ないのに旬で
人気があれば抜擢されるような安易な作品作りに走らず、しっかりと腰を据え、深い感動や自分の生き方や考え方
を問い直すきっかけとなるような作品に巡り合いたいですね。