V-storm50の時々日記 防災フォーラム


片田敏孝群馬大学教授
7月12日午後よりアルカディア大ホールで新潟県教育庁主催の「防災教育フォーラム」〜地域と共に創る安全〜が開催され参加してきました。
メインの講演は「想定外を生き抜く力を育む防災教育」〜釜石市津波防災教育に学ぶ〜と題し群馬大学教授片田敏孝氏の講演で、片田教授は
災害社会工学を専門とし、防災関連の数々の著書や内閣府中央防災会議で災害時の避難に関する専門調査委員など災害に関する専門家として
活躍しておられ特に釜石市の子供たちの中に入って平成16年度から児童たちと地域防災や津波防災教育に取り組んでおられその実体験に基ずく
子供目線の具体例や考え方、教訓は氏の巧みな話術と相まって分かり易く、説得力がありました。

見附市の全戸に昨年配布された「豪雨災害対応ガイドブック」の制作者でもある片田教授の話の中で特に印象に残ったことを列記してみます。
◆学校(児童と教師)と家庭・地域とが連携した防災教育や防災行動が重要
◆災害文化として地域に定着させる(現在12歳の子供に防災教育をすれば10年後には22歳の大人になります更に10年後には32歳の親になり
 自分の子供に防災文化を継承させることができます⇒(つまり防災文化は長いスパンで取り組むべきことで、一朝一夕では出来ない)
◆防災教育とは自然と正しく向き合い、災いに対し主体的に備える姿勢を与えること。そして大いなる自然に畏敬の念を持ち、行政に委ねる
ことなく、自らの命を守ることに主体的たれ(まず自助それが基本、共助、公助はその後の考え方です)

                                 〜避難三原則〜

1 想定にとらわれるな(行政の防災はあくまでも想定外力に基ずくもの。その想定を超える事態も当然あり得る⇒ハザードマップを信じるな)
2 最善を尽くせ(大いなる自然の中で出来ることはその状況下の中で最善を尽くすことだけ⇒可能性があるならもっと先まで避難しろ)
3 率先避難者たれ(人間って真っ先に逃げることを躊躇する。自分が逃げることが起爆剤となり皆も逃げる。自分の命が守れるから救助できる)

◎ ぼくは(わたしは)自分で逃げることが出来るよ!お母さんも自分で逃げてね!(自分の命を自分で守る主体的姿勢の醸成)
× 脅しの防災教育(災害は怖いなど恐怖喚起のコミュニケーションとなる)
× 知識の防災教育(想定にとらわれる人間は自分の死を意識出来ないし、したくないのです)


最後に
片田教授の釜石市でH16年から取り組まれた釜石市民や学校の児童たちとの防災への取り組みの中で講演や講習に参加するのはいつもメンバー
が決まっていてこの人たちや児童は防災意識が高く被害者にはならない。参加しない人、過去の経験で自分で災害を想定している人が犠牲者と
なる。目からウロコの防災教育フォーラムでした。
本当の最後の話で行政の人たちには嫌な顔をされるが「行政の創ったハザードマップ」を信用するな!(災害の規模は想定外を更にを超える)



写真は会場で消防署員の説明を受けた小学校児童による緊急時タンカーづくりや救命ボートの組立などのワークショップ風景です。